超趣味的蹴球観戦記 Vol.8 [2008.12.14]

― 平成20年度 県リーグ昇降格決定戦 県リーグ1部 VS 2部 入替戦 ―

数多く行われてきた県リーグ関係の入替戦もこの日でいよいよラストとなりました。
県1部を6位で終えた「飯能セボジータス」 VS 県2部Aブロック2位「FC elf」。
会場は熊谷スポーツ文化サブ。ちょうど午後から同メイン会場で行われる彩の国カップの抽選会と
県社会人連盟の拡大会議に出席することになっていた為、少し(というかかなり)早めに会場入りし、
この重要な一戦を観戦して参りました。

2004年、2005年、それから昨年2007年と、ここ数年で埼玉県代表として三度の関東社会人大会出場、
すっかり常連として関東中にその名を轟かせるようになった飯能セボジータスですが、
今季は序盤から独走して優勝したパイオニア川越と、早々と脱落した狭山アゼィリア、武南クラブの3チームを
除く5チームの大混戦に巻き込まれる展開。
アヴェントゥーラ川口と対戦したリーグ最終戦では、勝てば4位で関東社会人出場、
負けると県2部との入替戦へ回るというまさに天国と地獄を分けるような戦いでしたが、
序盤に2点リードプラス相手に退場者が出て数的優位という状況からまさかの大逆転負けを喫してしまい、
結局8チーム中6位で県2部との入替戦に出場することになりました。
2006年には県1部10チーム中9位に終わり、与野蹴魂会の関東昇格が無ければ危うく県2部降格という
危機もありましたが、今回はそれ以来のピンチ。

対するは県2部Aブロック2位のFC elf。リーグ戦前半は4つの引き分けでポイントを失いながらも無敗で切り抜け、
首位を独走する越谷FCに次ぎ2位をキープ。後半取りこぼしもありましたが僅差で2位争いを制しプレーオフ進出。
そして県2部2位チームプレーオフではラトルズと同じBブロックで2位となったFCサンシンを2-1で降し、
今回の入替戦に駒を進めました。
ラトルズのFC elfとの対戦成績は2戦して2敗。初対戦は昨年のリーグ戦で、この時は2-3の敗戦。
2度目が今年初頭の彩の国カップ県1、2部トーナメントの1回戦。この時は開始から攻め立てられ、
2-6と大差での敗戦、非常に苦い思いをさせられた試合でした。
ただこの試合が危機感を生み、その後リーグ戦開幕前に大幅なシステムやポジションの変更を断行するきっかけとなり、
結果今季の飛躍に繋がるなどラトルズにとっては非常に意味のあるターニングポイントとなった敗戦でした。

当日は雨の降りしきるあいにくの天気でしたが、眠い目をこすりながら朝9時くらいに出発し一路熊谷へ。
何が辛いって前日はラトルズ忘年会。っつか一次会の開始30分以降記憶がないというのは一体どういうことなんでしょうか。
調子に乗って忘年会開始2時間前から暇人を集めて鏡月をガバガバ飲んだのが原因なのは言うまでもありませんが。
正直言って午後の会議まで家で休んでようか…などと悪い自分が耳元で囁くこともありましたが、
県1部昇格を目指すラトルズにとってこの県1、2部の境目のラインの実力を知ることが非常に大事、
と自分に言い聞かせ渋々車に乗り込みました。

会場に到着するとウォーミングアップの真っ最中。ピッチ脇でアップを行う FC elf は雨も寒さもなんのその、
大人数で大いに盛り上がり、この試合にかける強い意気込みを感じます。
一方のセボジータスの姿が見当たりませんが、どっか遠いところでアップを行っているようです。
二日酔いで長距離を歩くのがしんどいので、傘を差しながらボケ〜っとその場で待機。立ったまま寝てしまいそうな勢いです。


   試合開始前、本部前に整列する飯能セボジータス。
   携帯カメラの撮影モードを間違えてしまった為、
   すげーぼやけてます。酔っ払いの典型です。
   FC elf 。こちらもぼやけていますが、富岡さんの笑顔は
   判別できます。
   富岡さん、いつもご苦労様です。
   フェアプレーセレモニー。
   ぼやけ過ぎて誰が誰だか分かりません。
   そして両チーム握手でいざキックオフへ。
   ピントも酷いが構図もこのざま。

ベンチ前でスタメン、サブの選手全員で円陣を組み、気合いを爆発させる FC elf 。
一方の飯能セボジータスの面々は非常に淡々とした表情。
実力や実績からくる自信なのか、それとも入替戦に臨む事を屈辱と捉えているのか。

両チームのテンションの違い、FC elf の高いモチベーション、勢い、失うもののない格下チームの強み、
勝って当然という格上チームの難しさ、油断、FC elf に比べれば上げ難いモチベーション…、
セボジータスに対し一抹の不安がよぎります。

そして午前11時、定刻通りキックオフ。序盤は雨に濡れたピッチを考慮してか、ターゲットである7番福島選手に向け
とにかくロングボールを放り込むFC elf、裏へのボールに対しては俊足でテクニックもある10番若林選手を走らせます。
守備陣が落ち着いた対応を見せ相手にチャンスを作らせないセボジータスも、リーグ戦で蹴られ慣れてない為に
若干の戸惑いがあるのかなかなかボールを落ち着かせることができず、双方主導権を握れずお互い探り合うような展開。

しかし前半10分、セボジータスのDF5番澤田選手がドリブルで相手陣内に侵入し非常に際どいミドルシュートを放つと、
これをきっかけにセボジータスが一足先に自分達のリズムを掴み、試合を優位に進めます。
すると前半14分、今季県1部の得点王、以前のサイドハーフからFWに転向後はその圧倒的なスピードと驚異的な
身体能力で県内屈指のストライカーに上り詰めた9番保谷選手が、相手ゴール前で巧みなステップでDFを交わすと
鋭く左足を振り抜きセボジータスに先制ゴールをもたらします。

序盤勢いのあったFC elfですが、高ぶる気持ちを抑え切れなかったのか、体より気持ちの方が先走っているような印象。
攻撃のキーマンであるポストプレーヤー7番福島選手を完全に抑えられると、パートナーである10番若林選手は左サイドで孤立。
元J2愛媛で佐川急便埼玉を経て今季初めに加入した12番金子選手も、時折ずば抜けた技術や柔らかいタッチから
絶妙なパスなどをみせるも、劣勢の中で守備の時間が長く、なかなか見せ場を作れません。
各選手個人個人では非常によく頑張っているんですが、チームとしての連動性に欠け本来の力を発揮できないまま
この後試合は一方的な展開に突入していきます。

実力・経験で圧倒的に勝るセボジータスは、先制したことで落ち着きを得て完全にゲームを支配。
雨のスリッピーなピッチをものともせず惚れ惚れするようなボール回しからエース保谷選手を中心に次々チャンスを作ります。
すると前半26分、セボジータスのDFが右サイド裏に流れる保谷選手に送り込んだ長いボールに対し、
FC elfのDFが先に追い付くも雨によりスリップしたボールの処理を誤り後逸。
このボールをDFと上手く体を入れ替えて裏へ出た9番保谷選手が猛然と追いかけ独走状態でGKとの1対1に持ち込むと、
冷静にGKの股間を抜き追加点。劣勢の中絶望的な2失点目を食らい落胆するFC elf。

直後にもセボジータスはFC elfの守備陣の裏へ長いボールを送り込むと、前へ出たFC elfのGKがこれまた雨でスリップした
ボールの処理に失敗し後逸。このボールに追い付いたセボジータスの中盤の選手が角度の無い所から巧みにネットを揺らし
完全に試合を決定付ける3点目を追加しました。

4点を失わない限り県1部残留が決定するセボジータス(引き分けの場合はセボジータス残留)は余裕の試合運び。
決して無理をせず、締めるところはしっかりと締め、淡々とゲームを進めます。
対する FC elf はこれ以上の失点を防ぐため守備陣が非常によく踏ん張り、後半にはバー直撃のシュートを放つなど
時折チャンスも得ますが得点までは至らず、追い上げることができません。
思い通りにいかないイライラが噴出し、レフェリーに異議を唱える選手が続出するなど、悪い流れのまま時間が経過していきます。

そして3-0のまま後半も残り5分となったところで、9番保谷選手がこの試合ハットトリックとなるゴールを決め4-0。
さらに終了間際にも追加点を挙げて5-0、セボジータスが圧倒的な差を見せつける大勝で県1部残留を果たしました。

敗れた FC elf ですが、元Jの12番金子選手を筆頭に、7番福島選手、10番若林(雄)選手の両FW、
中盤でテクニックに優れた20番青戸選手やこの日は途中出場でしたが(情報によると坐骨神経痛だとか)
ラトルズも痛い思いをさせられた事がある元鴻巣ラホージャの8番若林(桂)選手など、特に中盤から前に
好選手が揃う素晴らしいチームでしたが、やはり2004年から5年間県1部の中心として戦い続けてきたセボジータスの
壁は厚かったようです。

同じように県1部を目指す我が狭山ラトルズですが、この試合を見て、8チームの少数精鋭で構成される現在の
県1部に割って入るのは並大抵の努力では難しいと改めて感じました。
もし今季前半戦のような好調が後半戦も続き、万が一県1部に昇格していたとしても現在の力で残留するのは至難の業。
今年昇格して3位となった坂戸シティーのように、県2部に所属している時点で1部の上位を狙えるような力を
蓄えた上で昇格しなければ、その他多くのチームと同じように一年での降格を余儀なくされるでしょう。
ただそうは言っても急激にチーム力を上げるのは難しいので、まあ難しいことは考えずとりあえず一戦必勝!
ってな感じで来季は頑張って県2部優勝を目指しましょう。その後のことは後で考えれば。
思い出作りだっていいじゃないか!みんな一度は県1部でプレーしたいだろ?ラトルズのみんな、頑張りましょう。


↓おまけ。

さてさて、入替戦が終わり会議まで2時間ほど時間が空いてしまいましたが、この日は同じ熊谷スポーツ文化公園の
メイン会場にて 埼玉県 VS 栃木県の県リーグ選抜交流試合が行われていたので、ついでにそちらも観戦することに
しました。

その前に腹ごしらえ。

熊谷スポーツ文化公園内にあるレストラン
「くまどん」で食事。熊田だけに。
全く期待してなかったが、意外とうまかった
カレーライス。


って言うかなぜ「くまどん」?名前の由来が知りたい。
と思って調べてみたら、こういうことらしい。

  >「くまどん」の名前は一般公募で決定。
  >熊谷のうどん、丼という意味と、ドン(首領、トップ)になりたいという願いも込めたとの事です。

だそうです。

  >ドン(首領、トップ)になりたい

意味が分かりません。


さて、飯食って交流戦が行われているメイン会場へ。
入り口付近で社会人連盟の役員として来場していた西部地区の伊東さんと遭遇。
県2部選抜の試合は既に終わっていて、3-3の引き分けだったらしい。

おかしいな…2部選抜俺呼ばれなかったけど。何かの間違いか?
という冗談はさておき、2部選抜はA、Bブロックでそれぞれ優勝した2チーム、
越谷FCと川口SCの選手が半分ずつくらいで構成。
同じ日に1部 VS 2部の入替戦のためか、2位だったFC elfとFCサンシンからの選出はなし。
FC elfはもちろんサンシンにも好選手が何人もいるので彼らが入ればより面白いチームが
作れたでしょうけど、仕方ないですね。

伊東さんのご好意で、会場内ピッチレベルで観戦させて頂きました。
私が到着した時は県1部選抜の試合のちょうどハーフタイム、
前半は埼玉県選抜が0-1とリードを許して終えたそうです。

毎年恒例となっているこの交流戦、情報によると県1部は第1回大会(H15)からこれまで埼玉の5戦全勝、
埼玉の意地とプライドにに賭けて負けることは許されませんぞ1部選抜の皆様!

   この頃になると雨も上がっていました。    白が埼玉県1部選抜


という訳で後半が始まったんですが、ピッチを見て一瞬自分の目を疑いました。
さっきまで入替戦に出てたセボジータス9番保谷選手がまた出てるじゃないですか!?
しかも走る走る普通にやってますよ。どんだけバケモンなのよアンタは…。

試合は埼玉県選抜が圧倒的にボールを支配、時折栃木県選抜のカウンターを浴びたりしますが得点を許さず。
すると出ました怪物保谷選手のアシストから6番レッズアマの野沢選手が蹴り込み同点。
直後にその保谷選手が左サイドから驚異的なスピードで相手ゴール前まで持ち込み逆転ゴール。
もう笑っちゃうほど上手いです。しかもこの試合は後半から登場とは言え、この日2試合目でこれですよ。
しかも2試合とも濡れた天然芝、足つったりしないんだろうか。

さらに11番レッズアマのFW橋本選手がペナルティエリア内で倒されてPKを獲得。
いやこの橋本選手もマジでキレッキレです、超上手い。
PKキッカーを強奪され大袈裟なジェスチャーで悔しがる橋本選手を尻目に、
同じレッズアマの10番高橋選手が冷静に決めて3-1。

最後の締めはまたもやこの男。
キレッキレの11番橋本選手からのクロスをゴール前で待ち受けた怪物保谷選手が
鳥人ブブカを彷彿とさせるジャンプで頭一つ抜け出しヘディングでゴール。
入替戦のハットとこの試合の2得点を合わせ今日5ゴール目。文句なしで今日のMVP by くま6。
今度ラトルズオリジナル携帯ストラップあげます。(あるのか?そんな物)

さて皆さんお楽しみいただけたでしょうか。
雨の中奮闘された各チームの選手の方々お疲れ様でした。

そして私はこの後午後3時から4時間にわたる会議に出席。
終了後は暗闇に包まれた駐車場でしばらく待機して凍ったフロントガラスを解凍し、
ひっそりと家路に着きましたとさ。

寒かった…。




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