超趣味的蹴球観戦記 Vol.4 [2005.11.03]

― 2005 L・リーグ2部 第21節 ASエルフェン狭山FC VS ジェフユナイテッド市原・千葉レディース ―


狭山で一番有名なサッカーチームといえばどこでしょう。

ルミノッソ狭山?
関東近辺では圧倒的に有名ですね。少なくとも埼玉県リーグに所属していて上を目指している人間にとっては神のような存在です。

ただ全国的な知名度で考えると…

そう!ASエルフェン狭山です!! …たぶん。アンケートとった訳じゃないけど。
なんたってL2、男子でいえばJ2ですよ!J2!

地元狭山のチームながらL・リーグも日曜開催の為、これまで観戦する機会がなかったんですが、
この試合は祝日木曜日にホーム狭山での開催、しかもリーグ最終戦!
これを逃したら次はいつ観戦できるか分かりません、ってことで今回はASエルフェン狭山FCの観戦記。


ご存知の通り赤坂の森はスタンドがないので、
観客はピッチ脇(トラック上)にセッティングされた
折り畳みの椅子に座って観戦。
奥に見えるのがジェフのサポ。
エルフェンについてあまり知識のない人もいると思うので、簡単に紹介。
設立は1991年。前身は、ラトルズやアゼィリアOB.FCを中心に多くの県リーガーを輩出している少年団狭山アゼィリアFCの少女部。
設立からしばらく県リーグや関東リーグで活動した後、2002年からL・リーグに参加。今年でL・リーグ4シーズン目です。トップチームの他に下部チームのエルフェンMARIが県リーグで活動中です。

選手はもちろんアマチュア、スタッフも父兄やOGを中心に多くの方がボランティアとして運営に参加していて、地域に密着した理想的なクラブだと感じたんですが、外からでは分からない苦労も相当多いそうです。
まずみなさん口を揃えて仰るのが「お金がない」。
レッズ・レディースや日テレ・ベレーザ、アルビレックスに今日の対戦相手ジェフ・レディース、他にもTASAKIや東京電力、大原学園などなど、やはり資金力のあるチームと対等に戦うのは厳しいと。
なんて話を聞いたくせに会場では1円も使わず、無料で公式プログラムを頂いた上に、芋までご馳走になりました。すいません…

もう一つが「選手がいない」。中には外国人助っ人を連れてくるチームもあるようですが、エルフェンは上に挙げた資金力のあるチームのような補強はできません。当然地元の選手を自前で育てることになるのですが、女子サッカーも以前に比べればメジャーになってきたとは言え、まだまだ競技人口はそれほど多くはありません。怪我人が続出して13人で遠征に行ったこともあるそうです。学業も仕事もあるだろうし、厳しいですよね。
もしこれを読んでて興味の湧いた方がいらっしゃいましたら是非エルフェンへ!


キックオフまで時間があったのでウロウロ。受付をしていた國井選手のお母さんの邪魔をしに行ったり(プログラムありがとうございました)、アゼィリア時代にお世話になったエルフェンの大黒柱早乙女代表にも貴重なお話を聞かせて頂きました。
そして試合観戦の他に今日のもう一つ(と言うかメイン)の目的、アゼィリア時代の僕の恩師である佐藤仁威監督への挨拶。短い会話でしたが、サッカーを続けていることを伝えることができたので今日の目的はほぼ達成です笑。
今ほどコーチング理論などが確立されていなかった根性論が中心の時代、5年生になった時から卒団するまでの2年間佐藤仁威監督(以下佐藤コーチ)に指導して頂きました。それまでの僕と言えばミスを恐れるあまり(めちゃくちゃ怒られて面倒くさいから)自分の意思を持ってプレーするということが全くなかったんですが、明確な意図があってそれにトライした結果のミスについては全くお咎め無し(むしろ褒められる)という佐藤コーチの教えが嬉しくて嬉しくて、水を得た魚のように走りまくりました。サッカーを死ぬほど好きになったのもこの時期です。佐藤コーチとの出会いがなければ僕がここまでサッカーを続けることはなかったですね、絶対。

さて、前置きが長くなりましたが、L・リーグ2部7チーム中4位のエルフェン、今日の対戦相手は5位のジェフユナイテッド市原・千葉レディース。L・リーグは3回戦総当りで、これまでの対戦成績はエルフェンの2勝(4-2、2-1)。勝ちゲームが観れるかな。
会場はホーム赤坂の森。狭山唯一の天然芝のサッカー場…と言いたいところですが芝の状態がひどい。2004年春にオープンしてたった1年半でボロボロ。以前から疑問の声が挙がっていましたが、明らかに使用頻度が多すぎです。多くの市民に利用してもらいたいという考えも分かりますが、管理もそこそこに土のグラウンドと同じように貸し出してしまってはこうなるのも当然でしょう。

両チームのウォーミングアップを観察。結構激しいです。特にジェフ。
狭いグリッドで7VS7くらい?のパスゲームでかなりの負荷かけたり、シュートや左右からのセンタリングも長い距離ガンガン走らせたり。最後の方はキックの精度が落ちてシュートが全く枠に行かないような状態なんだけどお構いなし。そういうもんなのかな。


スパゲティ、おにぎり、納豆巻、おにぎり、デザートのゼリー…ってお前どんだけ食べんだよ…


試合そっちのけでプログラムを眺める右SB。
お前らポジション剥奪するぞ!

いいなと思ったのが音楽。アップ中大音響でスマップやら何チャラ(最近の曲よく分かんね)を流すんですが、すごくいい雰囲気。観てる方も自然と体が動いてしまいました。そしてお決まりのFIFA ANTHEMで選手入場。今度県リーグでやろうかな。

そしていよいよ試合開始。ジェフサポ、エルフェンサポともに手拍子とコールに加え太鼓を使って応援。盛り上がってます。
序盤はジェフペース。コンパクトなラインを保って中盤の厳しいプレスでボールを奪いエルフェン陣内へ押し込みます。ジェフの攻撃の中心は10番の水野選手。173cm、68kgと男子顔負けのガッチリとした体型を武器に前線でポスト。技術もしっかりしていて、DFを背負っていれば体格を活かしたスクリーンでキープしてシンプルに味方を使い、マークが緩ければ前を向いてゴールへ向かってアクションを起こす、エルフェンにとっては厄介な選手です。
対するエルフェンの攻撃を組み立てるのは、ピッチ上22人の中でもズバ抜けた技術を持つ7番佐藤(舞)選手。中盤のあらゆるところに顔を出し味方にボールを捌きます。しかしチーム全体が押し込まれている為、トップ下を務める佐藤(舞)選手のポジションも自然と低くなってしまいFWが孤立。相手の基点が低い為にジェフの選手も躊躇なくチャレンジ、劣勢の時間が続きます。
完全にペースを握られながらも、よく声の出るGK早田選手を中心とした粘り強い守備で持ちこたえると徐々にペースを取り戻します。攻め疲れたジェフの中盤が間延びし始めるとエルフェンの中盤の選手達も高い位置にボールを運べるようになり、2人のFWに佐藤(舞)選手が絡んでシュートまで持ち込むなど序盤には見られなかったプレーが出始めます。ジェフも10番水野選手のポストを基点に右サイドから何度かチャンスを作りますが、周囲のサポートが遅く決定機は作れず、全く互角の展開のまま0-0で前半終了。


今日は文化の日。毎年恒例の航空自衛隊
入間基地の航空祭が行われていました。
上空ではメインイベント、ブルーインパルスの
曲芸飛行が。


終了後、サポーターに挨拶するエルフェンの選手
前半の終盤のような展開だったら後半は期待できるかなと思ったんですが、そこはさすがにジェフ、しっかり修正してきました。ターゲットの水野選手を意識しすぎるあまり中央に偏りがちだった攻撃を、後半はサイドの深い位置のスペースをうまく使いエルフェンDFを揺さぶります。同時に間延びしていた中盤を、後ろの選手の押し上げを早くすることで解消。
一気にペースを上げてきたジェフの勢いに飲まれ後半6分に遂に失点。勢いが収まるまでの少しの時間耐えれば絶対にチャンスが来る、と思っていた矢先の失点。この1点は選手達もショックが大きかったようで、大きく落胆する様子が外からでも分かりました。
肩を落とすエルフェンと対照的に、さらに勢いづくジェフ。6分後の後半12分、さらに18分と立て続けに失点してしまいました。

なんとか1点だけでも返したいエルフェン。
選手達も歯を食いしばってボールを追い駆け、サポーター達も声を嗄らしながら必死の応援を続けますが、結局このまま試合終了、最終戦を勝利で飾ることはできませんでした。

残念な結果に終わってしまいましたが、最後まで諦めずに戦う選手達の気持ちはこちらまでしっかりと伝わりました。格好よかったです。

みなさん、L・リーグお勧めです。
もちろん男子に比べればスピードやフィジカルで劣るため迫力は欠けるかも知れませんが、技術は相当高いです。
そして何よりひたむきな姿勢に刺激を受けました。
他チームに比べて決して恵まれた環境ではないかもしれませんが、気持ちだけは負けないように、狭山魂で頑張ってください。
ラトルズも影ながら応援していきたいと思います。

2005.11.3 L2第21節
ASエルフェン狭山FC (0-3) ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
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