超趣味的蹴球観戦記 Vol.3 [2005.08.27]

― 平成17年度彩の国カップ 第10回埼玉県サッカー選手権大会

            決勝 ホンダルミノッソ狭山FC VS 埼玉SC―


久しぶりの超趣味的蹴球観戦記、第3弾の今回は天皇杯埼玉県代表を決める、彩の国カップ決勝戦の模様をお伝えします。

県社会人1/2部の勝者佐川急便さいたまSC、県社会人3部以下の予選を勝ち抜いたFCエブリディー、大学の県王者平成国際大学、第2種の浦和レッズユースの4チームに、社会人関東1部のルミノッソ狭山、埼玉SC、社会人関東2部の飯能ブルーダー、大学関東2部尚美学園大学のシード4チームを加えた8チームで争われたトーナメントもいよいよ最終決戦。
決勝に駒を進めたのは、1回戦で佐川急便さいたまSCに9-0、準決勝では飯能ブルーダーを4-1で破り3年連続で代表の座を狙うルミノッソ狭山と、若い大学勢を撃破し昨年の雪辱に燃える埼玉SC、関東1部でしのぎを削る両チームの対戦となりました。下馬評ではここ数年関東リーグ1部で圧倒的な強さを誇るルミノッソが有利ですが、この大会では異様な強さを発揮する埼玉SCが相手だけに油断は禁物です。

全く使えない3人。人が写真にメモとワサワサ働いてるのに
ワーワー無邪気に騒いでるだけ。お前ら全員クビだ!
試合が行われたのは浦和レッズの本拠地埼玉スタジアム2002…
…の第2グラウンド。

キックオフは18:10だったんですが、あの悪名高き新オフサイドルールの説明会が埼玉スタジアム内であったので15時過ぎに現地入り。当初はウォーミングアップも見る予定だったんですが、説明会が大幅に長引いた為試合開始直前の会場入りになってしまいました。

メインスタンドが大会関係者以外入場禁止ということなので、バックスタンドへ小走りで移動。スタンドが工事中のためピッチ脇のスペースが開放されていて、すでに両チームのサポーターを含むたくさんの観客が陣取っていました。

ここでラトルズのメンバー3人と合流。すぐに見付けられるか不安だったんですが、あまりのアホ面のため5秒でいとも簡単に発見。

観戦場所はタッチラインから約3mの超至近距離。ピッチレベルのため座ってしまうと展開が把握しづらそうだったので、客席とピッチを隔てる柵の上に腰掛けて観戦することにしました。

そして時刻は18時を回りいよいよ主役達の登場。FIFAのANTHEMが大音量で流れる予想外の演出にスタンドにも張り詰めた緊張感が走ります。
ピッチ状態は良好、夕方になって日差しも弱まり爽やかな風が吹く、選手達にとってはこれ以上ない好条件。好ゲームが期待できそうです。
18:10定刻通りにキックオフ、と同時に両チームのサポーターも一気にヒートアップ。場内はいやがおうにも盛り上がります。
ルミノッソは3バックの前にダブルボランチを置く3-5-2の布陣。対する埼玉SCの布陣は4-4-2のBOX。
序盤は共にロングボールを蹴り合う展開。埼玉SCはルミノッソのアウトサイドの選手を封じ込める作戦か、ボールを持ったらとにかく左右の深い位置に送り込みFWを走らせます。それに対しルミノッソもうまく対応しチャンスを作らせることはないものの、ボールを奪っても中央の選手には常に相手がへばりついている上に両ウイングバックが低い位置で守備に奔走されているためなかなか前へ運べず、しかたなく相手陣内へ放り込むのみ。

10分には接触プレーでルミノッソ10番迫田選手が口元から出血するアクシデント。大事には至りませんでしたが埼玉SCの激しいチャージと思い通りに試合を運べない自分達に対するイライラが徐々に募ると、アフター気味のファウルを繰り返し24分までに3枚のイエローカードをもらってしまいます。埼玉SCのチャンスはほとんどがセットプレー絡み、35分には太田選手が長距離のFKで直接ゴールを狙いますが、ルミノッソGK村井選手のファインセーブでゴールならず。ルミノッソはペースを乱されたままこれといった見せ場もなく前半を終えてしまいます。
    
写真は左が埼玉SCのサポーター、右がルミノッソのサポーター。毎試合こんな熱い声援を受けてプレーできる選手達がうらやましいです。

後半は両チームメンバー交代なし。開始と同時にルミノッソの怒涛の攻撃、前線の選手が一気に駆け上がり、11番内藤選手の右サイドからのクロスをペナルティーエリア内で9番長谷選手が頭で折り返す決定的な形。完全にゴールかと思われましたが、JFL栃木SCでも中心選手としてプレーしていた28番板橋選手がまさかの空振り。埼玉SCはここで元大宮アルディージャの平本選手(FW)を投入。

前半精彩を欠いていたルミノッソですが後半は一転、4分には10番迫田選手が2列目から絶妙の飛び出し、左足で狙いますがシュートは惜しくもバーの上。9分には9番長谷選手がシュートを放ちますがDFに防がれ得点ならず。前半受身に回っていた中盤の選手が、後半はFWに近い位置でプレーするようになり次々にチャンスを作り出します。先制点を奪うのは時間の問題と思われましたが、13分、15番阿部選手の右足はまたもや枠を捉えきれず、20分には立て続けに右サイドを突破するものの最後が決まらずとにかくゴールが遠い。

防戦一方の埼玉SCでしたが粘り強い守備で耐え続けると、24分にカウンターから久しぶりに相手陣内へ。するとペナルティーアーク付近で後ろからのボールを受けた10番平本選手が見事なターンで相手DFを振り切ると左足一閃。ルミノッソとは対照的にワンチャンスを確実に生かし待望の先制点、押されていた埼玉SCが先制したことで試合は俄然盛り上がります。

後がないルミノッソは26分に14番佐野選手がFKで、30分には28番板橋選手が至近距離で狙いますが、焦る気持ちとは裏腹にゴールは遠ざかるばかり。
31分に板橋選手に代えて長身FW13番小林選手を投入、さらにDFの27番浦島選手を前線に上げパワープレーに切り替えます。
41分、その小林選手がDFから放り込まれたボールを頭で合わせネットを揺らしますが無情にも判定はオフサイド。
それでも何とか追いつこうと攻め続けるルミノッソですが、埼玉SCは10番平本選手、25番岩崎選手の個人技で必死に抵抗。耐えに耐えた埼玉SCが3年ぶり4度目の天皇杯への切符を手にしました。

小林選手のヘッドはオフサイドの判定でゴールならず
もう平本選手に尽きます。前半とにかく放り込むサッカーでルミノッソDFにプレッシャーをかけ続けて体力を消耗させ、後半投入した平本選手に全てを託した埼玉SC。選手、ベンチ、サポーターの期待を一身に受けて登場した元Jリーガーが見事にそれに応えました。少ないプレー機会でしたが、絶妙な体の使い方、ファーストタッチの質の高さなど、この高いレベルの中でもずば抜けた実力。特に決勝ゴールとなった後半24分のプレーには度肝を抜かれました。

3年ぶりの天皇杯出場となった埼玉SCの初戦は、高知県代表高知大学と群馬県代表FCホリコシの勝者と9/19に対戦。勝てば10/9に三ツ沢球技場に乗り込み、あのキングカズ率いる横浜FCに挑戦。4年前の第81回大会で衝撃の0-14の大敗を喫した相手、今回是非とも雪辱を果たしてもらいたいと思います。

一方敗れたルミノッソ狭山はこの大会が今季の最大の目標と聞いていました。地域リーグ決勝大会の辞退やチーム存続の危機など信じたくない噂を耳にしますが、埼玉の王者としてこれからも君臨し続けてほしい、全てのアマチュアチームの目標であり続けてほしいと切に願います。
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