超趣味的蹴球観戦記 Vol.9 [2009.09.19] ― 第16回全国クラブチーム選手権関東大会1回戦 江南ブロッコリーズSA VS S.C.相模原 ― サッカーを愛する皆さん、ご機嫌いかがでしょうか。 ということで始まりました超趣味的蹴球観戦記第9弾! 今回は東京都で開催された全国クラブチームサッカー選手権大会関東大会の模様をお伝えします。 昨年は現在ラトルズと同じ県2部Aブロックに所属する与野八王子クラブが見事3位に入り 全国大会まで駒を進めたこの大会、今回埼玉県を代表して関東大会に出場したのは 県3部北部地区に所属する「江南ブロッコリーズサッカーアカデミー」。 一昨年残念ながら県2部から降格、昨年は非常に惜しいところで県2部復帰を逃してしまいましたが、 今季はリーグ戦無敗で2年ぶりの県2部復帰に向け驀進中。 そしてリーグ戦の好調をクラブ選手権埼玉県大会でも発揮し、準決勝で県1部の川口SCから金星を挙げると、 決勝では県3部西部地区のアルドール狭山FCを一蹴、見事埼玉県代表の座を射止めました。 チームの顔とも言える吉野監督とは5年半ほど前にC級コーチの取得講習会でご一緒させて頂き、 以来幾度も練習試合でお世話になるなど、ラトルズにとっては非常に親しみ深いチーム。 しかも関東大会1回戦の相手は、あの元日本代表望月重良さん率いる「S.C.相模原」!! 応援のし甲斐があるってもんです。 ラトルズのサイトを見て下さる方々は皆さん筋金入りのサッカー馬鹿と思われるので、 今さらS.C.相模原についての説明は不要かと思いますが、一応簡単に説明させていただきます。 S.C.相模原 http://www.sc-sagamihara.com/ 神奈川からJリーグを目指し昨年立ち上げられた赤丸急上昇のクラブです。 設立初年度の昨年は神奈川県リーグ3部を圧倒的な強さで全勝優勝。 県2部の今季もこれまで6戦全勝で得点が何と54!で失点が2。 一試合平均9得点というとんでもないスコアで首位を爆走中。 今季のテストマッチの相手を見てもジェフ千葉に湘南ベルマーレ、横河武蔵野FCなどと対戦、 所属選手の約半数が元プロという、まあ県リーグではちょっと反則級の恐ろしいチームです。 そんな怪物クラブに身近なチーム江南ブロッコリーズSAがどこまで頑張ってくれるか! というわけで、今回も「いつもゴロゴロしている黄色い男」と一緒に応援に行って参りました。 ※出場チーム一覧
さて、今回会場となったのは駒沢オリンピック公園第二球技場。 4年前に超趣味的蹴球観戦記の第2弾で、関東リーグの飯能ブルーダー(現ACアルマレッザ)の 応援に来て以来2度目の来場です。
「黄色い男」の到着が遅れていたので一人で会場入り。するとちょうど江南の吉野監督と会場内通路で遭遇。 突然の珍客にかなり驚いた様子でしたが、ラトルズの分も魂を込めながらガッチリ握手して激励。 落ち着き払ったにこやかな表情から、試合の勝敗よりもS.C.相模原という素晴らしいクラブと公式戦で対戦できる 喜びのようなものをヒシヒシと感じました。 そして口では謙遜しながらも、一泡吹かせてやるという闘志も感じ取ることができました。 良い試合を見せてくれそうな予感です。
ウォーミングアップが始まる頃になると、S.C.相模原のサポーターの方々が続々と到着。 試合開始時にはとても県リーグのチームとは思えないほど、物凄い数に膨れ上がりました。
「黄色い男」はまだ到着しませんが、もう間もなく試合開始というところで埼玉県社会人連盟の門田会長や 理事の富岡さん、小島さんなど、社会人連盟の大御所の方々が来場。 観戦記を書くたびにお会いする小島さんの第一声はいつも通り 「お前もホント好きだな〜(笑)」 ええ好きですとも!埼玉県の社会人サッカーを少しでも盛り上げようと! そして観戦記を通じてラトルズをもっと多くの方々に知ってもらおうと! 寝る間を惜しんで頑張っているのですよ!暇な事は確かですけど!
さてさて、前振りが長くなりましたがいよいよ試合開始です。S.C.相模原ボールでキックオフ。 ※両チームの選手名ですが、江南ブロッコリーズは県リーグのエントリー表、S.C.相模原はWEBサイトを参照しております。 開始から軽やかにボールを繋ぎ、いきなり江南ゴールへ襲い掛かる相模原。 しかし江南のよく統率されたDFラインの前に2つ続けてオフサイドを取られます。 5分には右サイドを崩してクロスボール、中の選手には合いませんでしたが、序盤から主導権を握るべく 早いタイミングで勝負を仕掛けます。 一方の江南は、2トップを前線に残した以外は自陣に引き、まずは守備からゲームに入る形でスタート。 相手が相手だけに序盤は無謀な打ち合いを避け、ロースコアの展開を狙います。 丁寧にボールを繋ぎながら隙をうかがう相模原に対し、最終ラインと引き気味の中盤の選手達でしっかりと ブロックを作りながら、ボールを奪ったらリスクを避けてFWに長いボールを送りラインを押し上げます。 序盤はこの作戦が功を奏し、ボールをキープする相模原も江南の厳しいアプローチの前になかなかフィニッシュまで 持ち込めず、ミスも多く出始めます。 すると前半10分、江南は相模原DFのミスを見逃さなかった10番小此木選手がボールを奪うと、一気に裏へ駆け抜け ペナルティエリアに侵入。 その瞬間は相模原サポーターが驚きの声と共に体を硬直させるワンシーンでしたが、これは惜しくもGKに先にキャッチされ 得点には至りませんでした。 するとその直後に今度は相模原の攻撃。戻りが遅れた江南守備陣の一瞬の隙を付き8番水野選手が裏へ抜け出して 右足で強烈なシュート、しかしこれは幸運にもクロスバーを叩き得点ならず。 ヒヤリとさせられるシーンでしたが、両チームのスピーディーな展開に観客も盛り上がります。 圧倒的なポゼッションで徹底的にサイドを突く相模原に対し、江南の攻撃は少ない枚数ながらFWの二人が奮闘。 県1部飯能セボジータスでの武者修行から復帰した10番小此木選手はエースらしい力強いプレーで、 パートナーの22番内田選手も鋭いターンから積極的に相手ゴールを目指すアグレッシブなプレーでチームを牽引します。 すると前半12分、カウンターぎみに相手陣内へドリブルで進んだ22番内田選手がやや距離のあるところから ミドルシュート、一旦は相手DFに当たりボールがこぼれますが、このルーズボールを拾いサイドに展開し 左サイドから深いクロスが上げられます。 このボールに再び反応した22番内田選手が、ゴール正面至近距離に走りこんだ17番橋本選手に対しヘディングで 完璧なボールを折り返しますが、17番橋本選手が倒れこみながら放ったボレーは僅かに枠の左。 悲鳴と共に立ち上がった相模原サポーター達は、安堵の表情で椅子に腰をおろしました。 このプレーで火がついたS.C.相模原はこの後怒涛の攻撃。 14分に15番吉岡選手が中央からドリブルシュートを放つと、直後には18番井上選手が左サイドから クロスを放り込み、ペナルティエリア内右から8番水野選手がニアポストにシュートを放ちますが、 江南GK石長選手が好セーブ。 さらに1分後には18番井上選手がシュートを放つと、18分には左サイドから細かいパスで完璧に崩し、 8番水野選手がゴール至近距離からシュート。しかしこれも江南DFの神懸り的なブロックに遭い得点には至らず。 21分にはCKのこぼれ球から決定的な場面を迎えますが14番藤田選手のシュートはヒットせずバーの上。 圧倒的に攻め込みながらも得点が奪えず焦れる相模原に対し、守備陣の奮闘に運も味方する江南、 これはもし江南に先制点が生まれれば番狂わせの可能性もあるんじゃないか…! しかしそう思った矢先の前半29分、ペナルティエリアのやや外中央でボールを受けた相模原19番齋藤選手が フリーな状態からゴール右隅に放ったシュートが、必死で飛びつく江南GK石長選手の指先をかすめゴールイン。 それまで好プレーを続けていた江南守備陣の僅かな隙を突く見事なシュート、これで江南は苦しい状況に置かれます。 役員として来場していた富岡さんも、居ても立ってもいられなかったのかスタンドから身を乗り出しながら、 「おい!中盤下げすぎだ!もっと出せ!」と江南ベンチに指示を出していました(笑) 先制して勢いづく相模原は前半終了間際の34分にも(この試合は前後半35分ずつの70分ゲームです) あわや2点目かというビッグチャンスを作りますが、江南GK石長選手の好セーブに阻まれ、 相模原の1点リードのまま前半を折り返します。
ハーフタイムは、試合開始直後に到着した「黄色い男」と一緒に一旦会場の外に出て、休憩しながら試合の分析。 試合は完全に相模原が支配し危険な場面も数多く作られましたがまだ1点差。 江南もいくつか得点を予感させるプレーもありましたし、GK石長選手、6番京藤選手、4番竹原選手を中心とした守備陣が 頑張っているうちに何とか試合を振り出しに戻したいところです。 さて後半。江南はメンバー交代なし。 相模原の方は14番右サイドバックの藤田選手に代えて中盤に11番真仁田選手を投入し、3-5-2の布陣にチェンジ。 まず先にチャンスを作ったのは江南。武南で選手権に出場し、国士舘大学ではJFLの試合にも出場した経験を持つ 14番梅沢アイメン選手にボールが渡ると、快速を飛ばして右サイドを切り裂き一気にペナルティアリアに侵入。 突然のピンチに相模原サポーターが騒然とする中、追いすがる相模原DFを物凄いスピードで振り切りGKとの 1対1に持ち込むと、落ち着いて右足でシュートを放ちますが惜しくもGKに防がれ残念ながら同点ならず。 前半は自身の裏を再三突かれ、なかなか高い位置でプレーすることができませんでしたが、ようやく梅沢選手らしい 持ち味を発揮する素晴らしいプレーでした。 相模原は交代で入った11番真仁田選手が切れのあるプレーで江南守備陣を揺さぶります。 非常にスピードのあるドリブラーで、右サイドを縦に勝負したと思ったら、今度は中へ切れ込んで見せたり、 予測のつかないプレーに江南の守備陣も綻びを見せ始めます。 すると後半10分、反対の左サイドを15番こちらも俊足の藤田選手が突破、中央へグラウンダーのクロスを入れますが、 これは江南GK石長選手が倒れこみながらキャッチする好プレー。 直後には相模原9番森谷選手が裏へ抜け出すと、飛び出したGK石長選手の頭上を抜き無人のゴールへ。 誰もが完全にゴールと思ったプレーでしたが、必死に戻った江南DF4番竹原選手が寸前のところでヘディングで クリアし、CKに逃げました。 押せ押せの相模原、さらに攻勢をかけると後半14分、先制点を挙げた19番齋藤選手が中央を突破しゴールへ 向かって突進。 江南6番京藤選手が必死に追いすがり、ペナルティエリアのやや外でもつれる形で二人が転倒。 しかしこれが何と江南6番京藤選手に対し一発レッドカードが提示されます。 決定的な得点機を阻止したという判断なんでしょうが、あまりにも厳しい判定。 傍から見た限りでは、浮き球の処理にもたつき江南京藤選手に寄せられてしまった相模原齋藤選手が、 京藤選手の服を引っ張りながら自ら飛び込んだようにも見えましたが…。 とにかくこれでリードを許している江南が一人少なくなり、かなり厳しい状況に追い込まれます。 江南は10番小此木選手をDFに下げ、前線に22番内田選手を一人残して対応。 負けてはいますが1点差、無理に点を取りにいくことはせず、終盤の一発に賭け守備陣形を維持することを優先します。 数的優位になった相模原はDF4番奥山選手が攻撃に参加し、2バックの形でさらに攻勢をかけます。 すると後半20分、CKから10番坂井選手が絶妙のボールを送ると、ファーサイドで4番奥山選手が完璧なヘッドを決めて 追加点、これでほぼ試合が決してしまいました。 それまで耐えに耐えていた江南守備陣ですが、数的不利に疲労も重なりこの後は防戦一方。 30分と、さらに終了間際の35分にも追加点を奪われてしまい、結局0-4で敗れる結果になりました。
残念ながら敗れてしまった江南ブロッコリーズSAですが、元プロを多数擁する相手に対し退場者を出すまで0-1、 時折決定機を作り出すなど、素晴らしい戦いを見せてくれました。 負けはしましたがきっと得たものも多かったんではないかと思います。 この経験を生かして残りのリーグ戦も頑張っていただき、来季は2部の舞台に返り咲ける事を祈っています。 ラトルズも負けじと頑張ってまずは2部へ残留、そして来季リーグでの対戦を楽しみにしています。 勝ったS.C.相模原の皆さん、クラブ選手権関東大会優勝おめでとうございます。 通常のリーグ、JFLへの飛び級を狙える全社、Jとの対戦に繋がる天皇杯、これらの大会に比べ決して優先度の 高い大会ではないかもしれませんが、それでも多くのサポーターの方々が詰め掛け、選手達もそれに応えるべく 全力で戦う姿を見せるなど、上を目指すクラブとしての一体感を強烈に感じました。 ハイレベルな神奈川県リーグ、一発勝負の関東社会人大会、強豪揃いの関東リーグ、日本サッカーのピラミッドで最も 狭き門と言われる地域リーグ決勝大会、そしてJFLと、目指すJリーグまでは多くの難関が待ち構えているかと思いますが、 いつか将来その夢が実現されることを、埼玉の片田舎から祈っています。 さて今回はこれまで。皆さんお楽しみいただけたでしょうか。 次はいつどこの会場に出没するのか、できれば11月の関東社会人大会に、県3部時代共に戦った坂戸シティーFCや 飯能セボジータス、FC西武台の応援に行きたいな〜と思っていますがどうなるでしょうか。 3チームの方々、マジで頑張ってください。 |
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